研究班のご案内:消化管班

消化管班 代表:猿田 雅之

担当疾患

  1. 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病、腸管ベーチェット病)
  2. その他の特殊型腸炎 (非特異性多発性小腸潰瘍症(CEAS)、家族性地中海熱)
  3. 小腸の出血性疾患(小腸血管腫、NSAIDsに伴う小腸粘膜障害、小腸潰瘍)
  4. 小腸の腫瘍性疾患(小腸癌、小腸悪性リンパ腫、Petutz-Jeghers症候群)
  5. 各種大腸疾患(大腸癌、大腸腺腫、大腸憩炎、大腸憩室出血)
  6. ヘリコバクター・ピロリ菌に関連する慢性胃炎、胃十二指腸潰瘍、胃癌、胃悪性リンパ腫の診断と治療
  7. その他の胃腫瘍(胃悪性リンパ腫、胃粘膜下腫瘍)
  8. 逆流性食道炎に代表される酸関連疾患
  9. 機能性ディスペプシア。、過敏性腸症候群
  10. 食道癌の早期診断と内視鏡治療
  11. 食・胃道静脈瘤の診断と治療

当研究班の特徴:

  • 特色ある炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病、腸管ベーチェット病)の診断・治療
     現在の日本において、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)に代表される炎症腸疾患(IBD)の治療は、生物学的製剤(抗TNF-α抗体など)の登場により著しく進歩していますが、近年の食生活の欧米化やストレス社会の影響でしょうか、患者数は増加の一途をたどっています。  本院においても、2017年末までに、UC731名、CD212名、腸管ベーチェット病(BD)50名と計1000名ほどの登録がされています。消化管班では、この激増するIBDに対応するべく、正しい早期診断や各種薬物治療の実施だけでなく、新規の検査法および治療法の開発・検討を行っており、最も得意とするところです。そして、慈恵の消化管班のIBD診療の特徴として、以下の7点が挙げられます。
    1. それぞれのIBD患者さんの経過や病態を正しく把握し、その方にあった専門性の高い治療を提供します。
       IBDの治療経過はときに長く、複雑となることもあります。当科では、型にあてはめた治療を行うのではなく、それぞれの患者さんの状況を詳細に把握することで、ひとりひとりにあった治療法の選択・実践を目指しています。そのために、ときに診察時間が長くなったり、次の患者さんをお待たせしてしまうこともありますが、受診される皆さんにご理解とご協力を頂くことで実施できています。
    2. 治療に難渋している患者さんの相談を積極的に受けています。
       IBDは基本的には治療指針に則り治療が行われ、良好な治療成績が得られていますが、ときに予測通りにはいかないこともります。他院で治療を受けて、思うような成果が得られず、患者さんだけでなく診療医も困惑することがよくあります。当院では、そうした他院で治療に難渋したり、予測通りにいかない患者さんの診察も積極的に受け入れ、正しい評価や治療の工夫のお手伝いをしています。
    3. 苦痛のない内視鏡検査や各種検査に取り組んでいます。
       IBDに限らず一般的に、内視鏡検査や小腸の検査は苦痛を伴う検査とされています。当院では、安全かつ十分な鎮静剤の使用により、極力苦痛のない検査を実施するように心掛けています。また、実施する検査も、より侵襲の少ないものから行うなどの配慮もしています。
    4. 全国の病院と連携が取れますので、転居・転入の際の相談も容易です。
       当科は、厚生労働省の難治性炎症性腸管障害の研究班に所属していますので、全国のIBD専門施設との連携がスムーズに行なえます。そのため、急に地方に転居される方に次施設の紹介や、東京に転入する方の受け入れが非常に円滑に行えます。
    5. 外科的な治療が必要となった場合にも、当院の消化管外科との緊密な連携によりスムーズに受診・治療を受けることが可能です。
       IBDでは、内科治療の限界をみることもあり、その際には外科的治療が必要となります。一般的に、IBDの外科手術は、通常の消化管手術と異なるとされ、専門的な知識が必要といわれています。当院では、消化管外科(上部班、下部班)との緊密に連携を取ることにより、スムーズな治療の移行を可能としています。
    6. 土曜日を含め、毎日IBD診療が可能です。
       一般的にIBD患者さんは若い方が多いので、仕事と通院・治療日程のバランスに悩まれる方も多いのが現状です。当科では、毎週土曜日の外来診療を行っており、さらに外来診療日の全てにIBDを専門とする医師が診察することを可能にしていますので、安心して受診頂けます。
    7. 最先端の治療も国際共同治験に参加し選択可能です。
       近年、様々な新規薬剤の開発と検討が行われております。当院は、各種国際共同治験にも積極的に参加していますので、既存治療が有効でなかった患者さんにも、新たな治療機会が提供できます。
    8. 特殊型腸炎 (非特異性多発性小腸潰瘍症(CEAS)、家族性地中海熱)の診断と治療も可能です。
       現在、IBDの類縁疾患として、非特異性多発性小腸潰瘍症(CEAS)や家族勢地中海熱などの疾患も存在しています。当院では、このようなIBD類縁疾患や特殊型腸炎に対する診断や治療も積極的に行っています。
  • その他の小腸疾患(出血性疾患、腫瘍性疾患)の診断と治療
     IBD以外の各種小腸疾患に対する検査や治療にも精通しており、小腸の出血性疾患だけでなく腫瘍性疾患に関しても、選択的小腸造影、カプセル内視鏡検査、シングルバルーン小腸内視鏡検査、ダブルバルーン小腸内視鏡検査を駆使して、精査および治療に取り組んでいます。  
  • その他の大腸の炎症性疾患、腫瘍性疾患の診断と治療
     また、近年IBDと同様に急増している大腸疾患には、炎症性疾患として憩室炎や虚血性腸炎、腫瘍性疾患として大腸ポリープ、早期大腸がんが挙げられます。これらの疾患に関しても、内視鏡科と共同して積極的な内視鏡精査およびその治療に取り組んでいます。
  • ヘリコバクターピロリ菌に関連した胃炎、胃腺腫、胃がん、胃悪性リンパ腫などの診断と治療
     内視鏡検査による精密検査は勿論のこと、上部消化管外科や一部腫瘍内科とも協力して治療にあたっています。ヘリコバクターピロリ菌の積極的な除菌療法や、薬剤アレルギーがあり通常の除菌治療ができない方への除菌法の検討、さらには除菌療法後の適切な内視鏡検査による経過観察も行っています。  
  • 逆流性食道炎に代表される酸関連性疾患の診断と評価、治療
     近年急増している酸過剰に伴う疾患である逆流性食道炎の診断と適切な治療についても提供可能です。
  • 消化管運動関連の疾患の診断と治療
     機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群など消化管運動不全に伴う諸症状の評価や精査、加療も可能です。

教育

 上述したように、IBDだけでなく各種消化管疾患では、多数の新規治療法が登場し著しい進歩がみられていますが、患者数は増加の一途です。このような状況を考えると、これからも増え続ける消化管疾患の患者さんに対し、診療技術を身につけるだけでなく、「病気を診ずして病人を診よ」の精神で、「慈恵医大にいけば必ずしっかりと治療してくれる」と患者さんが満足する診療科を目指しています。
 個々の医師の能力を高めるためには、診断・治療・教育・研究への飽くなき向上心をもつことが大切で、互いに質の高い議論を重ねることで幅広い知識と柔軟な思考や実践力が身につき、患者さんに貢献できるようになると考えています。具体的には、看護師さん、栄養士さん、薬剤師さんを交えた「IBDミーティング」を毎週開催し、患者さんの情報共有だけでなく、治療法選択のプロセスなどを学ぶ機会としています。さらに、関連する診療科つまり内視鏡科や外科、放射線科、病理部などとの連携も極めて重要であり、必要時に適宜、合同カンファレンスを行っています。
 また、院内だけでなく院外でも参加できる勉強会・研究会を充実させ、学ぶ機会を豊富にし、医師個人が自分のペースで成長できる機会を提供しています。

研究

 IBDの病態解明と、新規バイマーカーの検討、新規治療法の検討が、当研究班で行っている主たる研究テーマです。現在、新規バイマーカーとして、尿中プロスタグランジンEの代謝産物の測定を行っています。同検査は、随時尿で測定が可能で、炎症に鋭敏に相関することから、非侵襲的かつ簡易な検査方法として今後が期待されています。現在、UCを中心に臨床応用に向けた検討を実施しています。  またIBD病態解明のアプローチとして、各種サイトカイン分布の検討も行っています。
当大学が得意とする豊富な臨床検体からサイトカイン発現量を確認し、各種の抗サイトカイン療法を行う際の判断の一助となって、最終的にはオーダーメイド治療につながることを期待して取り組んでいます。
 その他、がん特異的蛍光プローブを用いた分子イメージングおよびイメージングをガイドとした近赤外光線治療法についての開発や、胃に限らず消化管に発生したリンパ腫についての検討、尿酸の小腸における排泄機構と新規治療薬開発への検討も実施しています。
 大学院が修了し希望があれば、積極的に海外留学を推奨しており、現在までに、米国ロサンゼルスのCedars-Sinai Mecical CenterのIBD Centerや、米国ワシントンDCのNational Institutes of Health (NIH)、米国ボストンのMassachusetts General Hospital (MGH)などに留学実績があります。

派遣・関連施設

  1. 東急病院
  2. 西埼玉中央病院
  3. 厚木市立病院
  4. 町田市民病院
  5. 富士市立中央病院
  6. がん研有明病院


4つの診療研究グループ  消化管班  肝臓班  腫瘍班  胆膵班